【トピックス(5)】
皮膚と水分・保湿

肌が乾燥していると「水分が足りないのかな、保湿しないと」と感じることがあると思います。では、皮膚の水分量とはいったい何を示しているのでしょうか。

角層の水分の量1,2)
人体は、表皮の最も外側にある「角質層(角層)」と呼ばれる層で覆われています。角層は表皮ケラチノ(角化)細胞の最終産物である、角質細胞が積み重なってできたものです。この角層の一番重要な機能は「バリア機能」で、皮膚に付くさまざまな有害物質や微生物、物理刺激などの外的刺激から皮膚(身体)を守ったり、水分が体内から蒸散するのを防いだりしています。
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角層の厚さは0.02mm程度と、料理で使うラップフィルムほどの薄さです。角層には油分とともに一定量の水分が必要で、約30%の水分を含んでいるときが角層にとって最良の状態とされます。

角層の保湿因子1,2)
角層が乾いた空気で乾燥しないのは、角質細胞のすき間を保湿因子である細胞間脂質が埋めているからです。この成分の半分以上が、強い水分保持能をもつセラミドです。

また、角質細胞のなかにあるアミノ酸などの天然保湿因子(NMF)も水分を吸着する性質が強い(保湿性に優れている)のです。セラミドやNMFなどの働きによって、角層の水分保持がなされています。

アトピー性皮膚炎では
角質細胞間脂質のセラミド含有率が低下1,3)

アトピー性皮膚炎では、細胞間脂質のセラミド含有率が異常に下がってしまいます。これにともなって角質細胞間脂質の機能が低下し、ドライスキンになりやすくなります。そのため、治療では保湿がとても重要になります。
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【参考文献】
1) 安田利顕著, 漆畑修改訂:美容のヒフ科学 改訂10版, 2021, pp.29-33, 南山堂, 東京
2) 瀧川雅浩ほか編:皮膚科エキスパートナーシング 改訂第2版, 2018, pp.4₋5, 南江堂, 東京
3) 日本皮膚科学会ほか:アトピー性皮膚炎診療ガイドライン2018 日皮会誌 2018, 128(12), 2431-2502